合格発表を見に行ったけど、番号が無かったーーー。小学6年生のお子さんにとっては、かなりショックな出来事です。
そんな中届いた繰上げ合格候補者通知書。今すぐにでもお子さんに伝えたいですよね。
ただし、伝えるタイミングには細心の注意を払うべきだと私は考えています。
補欠合格について、10年近く経った今でも心残りがある苦い思い出があります・・・。「同じ思いをしてほしくない」という気持ちでこの記事を書いています。
今回はその苦い経験も振り返りつつ、「繰上げ合格候補者通知書」にまつわるアドバイスをお伝えしていきます。
もしまだお子さんが受検する前にこの記事を見て頂いているなら、ラッキーです。ぜひ、今回お伝えする内容を踏まえてご家庭の方針を決めておいてくださいね!
繰上げ合格の人数や調べ方については繰上げ合格通知書が届いたら【急いでチェック!】という記事にも書いています(^^)
補欠合格について
何人に通知書を郵送したかは公表はされていませんが、各学校15名から20名弱の補欠合格者を決めて、通知書が送られているようです。
つまり、確率でいうと20人〜30人に1人は補欠合格者になる可能性がある、ということです。
もし、実際にポストに届いたら…あなたならどうしますか?
子どもに知らせるタイミング
結論から言うと、繰上げ合格通知書が来た段階で、お子さんにすぐ言うべきではないと思います。
冒頭にも書きましたが、ある苦い経験が忘れられないからです。
繰上げ合格通知書にまつわる苦い思い出
当時は都立武蔵を目指すクラスの担任をしていたのですが、合格発表日の翌日14時半ごろ、K君が大喜びで塾に飛び込んできました。
「せんせー!補欠になった!!」と、家からずっと握っていたという通知書を広げて見せてくれました。不合格で落ち込んでいたところポストに届いたので、よっぽど嬉しかったんだと思います。
電車オタクのK君は、私が受け持った生徒の中で初めての補欠候補者でした。都立中高一貫独特の「繰上げシステム」をちゃんと分析していなかった私は、ただ純粋に嬉しくて「うわー!すごいね!やったねー!」と一緒になって喜びました。
しかし、後日お母さんから電話があり、結局K君のところに合格の連絡は来なかったそうです。K君は、それ以来塾に顔を出してくれることはありませんでした。(他の塾生は受かっても落ちても春休みはやたらと塾に遊びに来てくれるのですが…)
もし、私が教育委員会の最新データをチェックして、何人繰り上がるか計算していたら…。K君の補欠順位を冷静に判断できていたはずです。「もしかしたら厳しいかも知れないけど、でも補欠に入るくらい実力を伸ばせたのはすごいことなんだよ。本当によく頑張ったね」と、K君の一年間の努力という「過程」を誉められたかも知れません。
しかし、勉強不足だった私は、補欠になったという「結果」だけを見て喜んでしまいました。
お母さんからの電話で知りましたが、「ケイティ(私)をがっかりさせちゃった」と悲しんでいたそうです。それを聞いて、私はK君に申し訳なさすぎるのと、自分が情けなさすぎるのとで、悔しくて言葉が出ませんでした。
受検がどんな結果で終わろうとも、ポジティブな気持ちで卒塾してほしいと常に思って授業をしていたのに、最後の最後に適切な言葉をかけることができませんでした。
繰上げ合格について苦い経験をした私は、翌年から保護者会で必ず伝えていることがあります。
それは、「明らかに繰り上がる補欠順位でないのなら、結果が確定するまでは通知が来たことを伝えないでください」ということです。
「がんばった張本人を部外者扱いしているのでは」とか「子どもを尊重していないのではないか」とかいろいろと厳しい意見を直接言われた事もありました。でも、それでも毎年しつこく伝え続けてきました。
当日伝えない理由
1.不合格体験を2回もさせないため
合格発表の日、張り出された掲示板に自分の番号がのっていなかったーーー。お子さんは「一年間(もしくはそれ以上)がんばったけど受からなかった」という強烈な体験をしています。
そんな中、通知書が届いたら…。かすかな望みにすがって今か今かと連絡を待つと思います。
しかし結局連絡が来なかったら…?
子供は大人よりも一喜一憂の波が大きいですから、「『また選ばれなかった』という経験」は相当なショックとして記憶に残るはずです。1校に二度も辛い結果を突きつけられる必要は、ないですよね…。
2.「不合格」を消化する時間が今後のバネになるから
不合格だった場合、落ち込んだ気持ちを整理する時間が子供には必要です。しかし、繰り上がり合格通知書が来たと分かると、気になってソワソワして、気持ちの整理どころではないですよね。
気持ちを整理する時間というのは、これから中学校生活が始まった時に「また勉強頑張ろう!」という気持ちに切り替えるために必要な時間です。
不合格(憂)→補欠通知(喜)→連絡なし(憂)と短期間に一喜一憂の波に襲われることになるのは、子供の為とは言えません。
結論!繰り上がり合格候補になったことを伝えるベストなタイミング
塾講師としての経験上、補欠合格候補者になったことを伝えるタイミングは、次のパターンがベストです。
- 繰り上がり人数内の順位→すぐに伝える(思いっきり親子で喜びましょう!)
- 繰り上がり人数をオーバーしている順位→結論がはっきり出るまで伝えない。子どもが落ち着いて受検生活を客観視できるようになったら(個人差はありますが数日から数週間したら)伝える
まとめ
「負荷」という言葉には、二つの顔があります。
「子供の成長のバネになる良い負荷(=挑戦)」と、「精神的に追い詰めるだけの不要な負荷(=ストレス)」です。
簡単には受からない都立中高一貫にチャレンジしたことは、「良い負荷」です。けれど、「もしかしたら繰り上がるかも…」と期待してその希望が叶わなかった、という経験は「不要な負荷」です。
繰上り合格の電話を今か今かと待つヒヤヒヤするストレスを、親子で味わう必要はないですよね。(実際体験したら分かりますが、精神的に相当キツいですよ…)
もし受かったのなら、「繰上げ合格したよー!!おめでとう!」と結果を伝えればいいだけのことです。待つ時間のドキドキまで体験させる必要はありません。
もし電話がこなかったら…。発表から数日して気持ちが整理できたタイミングで、親の判断で繰上げ候補者になっていたことを伝えたらいいと思います。
今回は、繰上げ合格通知書が来たことを当日に伝える必要は全くない、ということをお伝えしました。
公立中高一貫校の受検は子供だけではなく、親にとっても試練となると思います。悩みは尽きませんが、今のうちから「万が一」の心の準備をしておきましょう。(これが出来るのは保護者だけです!)