字のうまい下手がどう影響するか、親としてはちょっと心配ですよね…。
一日50枚近い作文を添削した経験からお答えすると、≪文字は、採点者の心証に間違いなく影響をあたえます≫。
「思考型」の問題を取り入れる学校が増えてきたこともあり、記述問題の占める割合は今後ますます増えていくと考えています。
つまり、『文字の書き方』のポイントを押さえた子は、今後の受験や就職などで大きな強みになるのです。ぜひ最後まで読んでくださいね!
雑すぎる字は、採点者だって読みたくない!
適性検査は、約5日間で採点を終わらせないといけません。その限られた時間で1000枚近い解答用紙を添削するとなると、相当大変ですよね。(もちろん1人の先生が全員分採点している訳ではないでしょうが…)
直前期は月に200枚以上の作文を採点するのですが、添削はものすごくエネルギーを使います。10枚添削しただけでも頭がかなりヘトヘトになります。
『あなたの解答用紙を、一生懸命読んでいる先生がいるのを忘れないでね』と、私はいつも生徒に伝えていました。
ハッキリ言って、いわゆる「ミミズ文字」の作文は、添削すらしたくありません…。読みづらいし、添削しづらいし、見た瞬間「やめてよ~…」と思います。
逆にていねいな字で書かれていたら、「お、この子はちゃんと書いていそうだぞ?」と先入観を持って採点します。
もちろん、「字の綺麗さに左右されず、内容の良し悪しだけで点数をつけるべき」というのが大前提です。けれど、機械化できない添削だからこそ、先生の心証が点数に影響するのは、間違いないと私は考えています。
「字が綺麗な人」は、「賢そう」「優しそう」というイメージ、ありませんか? これは『ハロー効果』といって、人間ならごく当たり前の心の動きです。
これは、採点者も同じです。解答用紙をパッとみた瞬間、「お、この子は頭が良さそうだな」「うわー、こりゃひどいな…」と無意識でジャッジするのです。
そしてその判断は、少なからず採点に影響すると私は考えます。
たとえば、想像してみてください。
つまり、採点する前から勝負は始まっているのです。
下手でもいい。雑じゃない字を目指そう!
「もともと字が下手だから…」とあきらめモードになる子がいますが(特に男の子)、下手な字と雑な字は、違いますよね。
下手でもていねいに書かれた解答用紙は、見ていて一生懸命さがちゃんと伝わってきます。これは何百枚も添削してきたから自信をもって断言できます。
下手でもいいから、ていねいに書くこと。そして、0.1秒でも早く書くこと(適性検査はとにかく時間とのたたかいです)
「ていねい、かつ、速い」。この書き方をマスターしてもらいたいのです。
絶対NG!モチベーションを下げる声のかけ方とは
「ていねいな字」が大切だということは分かって頂けたと思うのですが、だからと言って、「ていねいに書きなさい」とは、絶対言わないでほしいのです。
そう言われて実行する子はいません。断言できます。
結果の強制(ていねいな字)ではなく、方法の提示(ていねいな字になる訓練法)をしないと心に響かないのです。
たとえば「家族のためにリビングをキレイにしなさい」(=結果の強制)と言われると、「そんなの分かってますけど?!」ってちょっとムカっとしませんか?
でも、「この洗剤を使ってこうやって磨くとキッチンがピカピカになるよ」(=方法の提示)と言われると、「やってみようかな?」と思いませんか?
同じことなのです。必要なのは、「ていねいな字になるための方法」を伝えることです。
「ていねいに、そして速く書く」ために取り組むこと
準備ができたらさっそく始めてみましょう!
(※「ゑ」や「ゐ」は必要ありませんので、正確には46文字です)
①~③の時間をそれぞれ計ってください。
①と②の平均時間を出し、マイナス3秒が③の理想です。私の場合、①は20秒、②は36秒でした。平均すると28秒なので、マイナス3秒した25秒が、理想のスピードになります。
その速度を、何度も書いて身体で覚えることが大切です。
まとめ
適性検査は、限られた時間でかなりの文字数を書かないといけません。問題文を読んで考える時間も必要なので、「いかに早く書くか」が勝負の分かれ目になります。
適性検査は1問ごとの配点は大きく、10点、13点の問題がたくさんあります。
1点違えば順位が30位上がると言われている適性検査で、10点の問題の半分でもいいので書くことが出来れば、合格へ近づくのは明らかですよね。
また、ロボットじゃなく生身の人間が採点している以上、心証(先入観)は重要です。ていねいな字で損することはひとつもありません。
毎日1回は「早くていねいに50音を書く!」という習慣をつけてみてください。
たった数十秒の訓練ですが、毎日積み重ねたら確実に字が変わってくるのが分かりますよ。