こんにちは!
今回は、都立桜修館中等教育学校へインタビューへ行ってきました
「住んでみたい街」としても人気のエリアの都立大学駅を出て、
ゆるやかな柿の木坂を登ると、緑豊かな遊歩道が現れます。
かつての都立大学跡地は現在、区民キャンパスとして広々とした敷地を活かした図書館やコンサートホールとなっており、賑やかな駅前とはまた違った雰囲気の中に、都立桜修館はありました。
今回は、鳥屋尾校長先生にお話しを伺ってきました!
都立桜修館中等教育学校とは・・・
開校15年目を迎える都立桜修館の前身は、旧制府立高等学校といって、
なんと90年以上も前に開校しています。
当時の校歌や校章を継続して使用しているとのことで、
校舎の中もどことなく歴史の重みが漂っているような空気を感じました。
まず入って驚いたのが、廊下にずらっと並んでいる書籍の数々です。
「これは20代30代のサラリーマンが読むようなビジネス書では・・・」とびっくりするような本が、長机に何冊も置かれています。
まるで本屋さんの新刊ビジネス書コーナーのような感じでした
校舎内の場所によって置かれている本は異なっていて、
たとえば理科室の前は理科関係の本、前期生の廊下にはその学年に良さそうな本、
という風にチョイスされています。
これは校長先生が「本を置こう!」と思って始めたわけではなく、
結果的にこうなったそうです。
都立桜修館は、独特な適性検査Ⅰや、「論理」授業でも有名ですが、
なるほど、こういう環境が土台になっているのか~!と納得でした。
校訓となっている「真理の探究」は「高い知性」「広い視野」「強い意志」という三本の柱で支えられているのですが、
環境面からも、その成長をサポートしているのだと感じました。
「論理」の学習とは・・・
桜修館の特色ある教育活動として、「論理」の学習を行っています。
学校が独自に決める総合的な学習の時間という位置づけのため試験は無いのですが、
通常の授業ではカバーできない内容で構成されていて、とっても面白そうです!
1年生が「国語で論理を学ぶ」授業で取り組む内容
確かにこれは、普通の「国語」という科目には収まらないですね…。楽しそうです!
二学期には、ディベートのルールを学んだり、論題について調査したりしながら、
自分の考えを説明していくそうです。
グループで行う、というのも大きな特徴で、相手の話を正確に聞いたり、助言し合ったり、そういった練習をすることが出来ます。
1年生が「数学で論理を学ぶ」授業で取り組む内容
1学期① | 数を使って論理的に考える |
---|---|
1学期①の例 | 4つの異なる数字を組み合わせて10をつくる式を考える |
1学期② | 規則的な法則を用いて表現する |
1学期②の例 | 【ハノイの塔】円板の枚数を増やした場合の変化を考察し、計算する |
論理の授業はグループ学習で行われるため、
「ああでもない」「こうでもない」と共同作業で答えを探したり、考察する力を身につけることができます。
適性検査で鍛えられた力を発揮して、論理の授業はとても活発に行われているそうです。
都立桜修館が育てたい生徒像とは・・・
校長先生に、「理想とする生徒像」を伺いました!
- 将来の夢や高い志を抱き、自ら進んで考え、自ら勇気をもって決断し、自ら責任をもって主体的に行動する生徒
- 社会の様々な場面・分野においてリーダーとして活躍する生徒
- 真理を探究する精神をもち、自ら課題を発見し、論理的に解決し、適切に表現し行動できる生徒
- 生命や人権を尊重し、他者を思いやり、他者と共に協調する心をもつ生徒
- 世界の中の日本人としてのアイデンティティをもって国際社会に貢献できる生徒
- 自らの健康に留意し、体力の向上に努め、健全な精神を維持できる生徒
インタビュー時にも話が出たのですが、これからの時代、「自分の頭で考える」ということが不可欠ですよね。
これまでの試験のような一問一答タイプでの学習ではなく、自分で課題を探し、答えを探す姿勢を六年間で育めるからこそ、「桜修館に入って本当に良かった」と言う声がとても多いそうです。
学校の環境を「フル活用しているな~!」と感じる子は、どんなタイプですか?
勉強もそうですが、学校行事や部活動が非常に盛んな学校のため、
実行委員会の幹部や幹部長であったり、班長であったりと何かしらの役割を担って活躍している子が多いそうです。
また、5月にクラスマッチという行事(球技大会と体育祭を合わせたようなもの)があり、
3日間その行事だけに全員で取り組むそうなのですが、
入学してすぐ、一年生の教室に六年生のクラスマッチの幹部と応援団のメンバーがやってきて、
敬語で、「一年生のみなさん、入学おめでとうございます。これから頑張りましょう!」とあいさつをするそうです。
一年生にとっては、六年生(=高3)はとてつもなく大人に見えるでしょうし、そんな先輩からの突然の激励は、嬉しい驚きですよね!
クラスマッチが終わった頃、部活にも入り、
そこでもまた、クラスマッチで活躍していた幹部の先輩が部活でも頑張っている姿、
そして、部活引退後の先輩が廊下で勉強している姿を見て、さらに憧れを強くするそうです。
廊下で勉強・・・?!
インタビュー終了後、校長先生が校舎を案内してくださったのですが、
廊下に自然な感じで机と椅子が置いてあり、放課後などにみなさん自主的に勉強しているとのこと…。
※ソーシャルディスタンスの関係で現在は机の数を減らしたとのことです。
放課後はここで先輩方が黙々と勉強している様子を見られるため、新入学生もモチベーションが上がりますね!
東大合格者の先輩が使っていたというご利益(?!)がありそうな机も人気だそうです(笑)
数学が苦手な子は、数学が得意な子のそばにちゃっかり席を取って、質問する様子も見られるそうで、
予備校のような区切られた自習室よりも効率よく学習できそうですね!
PTAについて教えてください
決め方については他校と同じ、とのことですが、やはり都立桜修館でもPTAの活動がとても活発に行われているそうです。
行事の際には、保護者の方が趣味で作った作品を持ち寄って、おしゃべりできるような喫茶室を作ってくださったこともあるとのこと。
心配なコロナ関係について・・・
在校生については、クラスを半分に分けて、ラッシュ時間に通学しなくても良いような工夫をしているそうですが、
やはりこのコロナ対応には先生方も苦心されているようです。
ただ、休校中も都立桜修館はオンライン化が非常に早かったという話も聞いていています。
なんと休校中に百本以上の動画を録ってアップしたという物凄い先生もいらっしゃったそうです…。
私もYouTubeやサロンで動画をアップしていますが、一日1本でもへとへとになるのに、凄すぎです…!
受検とコロナ
実際に、受検生本人や家族が感染してしまったり、濃厚接触者になってしまったりする可能性を考えると、今年の受検は本当に不安ですよね…。
校長先生に確認したところ、どういった対応になるかは学校が決められることではないので、教育委員会の指示に従うような流れになるそうです。
直前期はただでさえ寒く乾燥する時期なので風邪やインフルエンザの予防にピリピリしますが、
今年はより一層の体調管理と予防を心がけていきましょう!
合格ラインを越える子の特徴は?
都立中を受検するということは、学校のお勉強以外に適性検査対策や作文対策を積み重ねて来た充分にレベルの高い子達ですが、
更にその中でも「合格ライン」を突破する子達は、校長先生から見てどのような違いがあるか、聞いてみました。
- 色んな経験をしてきた子が多い
- 家族旅行やキャンプなど家族イベントが豊富
- お父さんの職場見学など、社会に触れる経験をしたことがある
- とにもかくにも読書経験が多い!(本好きが多い!)
- 突き詰めるタイプの子も多い
これは私も都立桜修館の適1を解いて思うことですが、「圧倒的な読書量」は有利になるでしょう。あの難解な文章を読んで、「なるほど、こういう事だな」と読み込むためには相当な力が必要です。
最後の「突き詰めるタイプ」というのは、
好きなことがあって、それについて自分で調べたり博物館へ行ったり、専門家の話を聞きに行ったりしたような経験をした生徒さんの話を聞くことがあるため、とのことです。
「好奇心を突き詰められる」環境を応援してあげるような家庭のサポートも必要ですね!
いま頑張っている受検生へ、アドバイスをください!
今年は、コロナ休校やコロナ休塾により、
一人で黙々と勉強をするしかない状況です。
公式LINEやサロンでも、「なかなかモチベーションが・・・」という相談が今年はかなり多いように感じます。
例年なら学校見学や文化祭に行くことで、先輩方の様子を見てモチベーションアップに繋がるイベントもありますが、今年は中止になっているので余計に辛いですよね。
小学生向けのアドバイスとしてふさわしいかどうかはわかりませんが、
桜修館の生徒には、受験は「走れメロス」だと言っています。
「走れメロス」のあらすじ
悪い王様に「人の心を疑うのは悪いことだ」ということを証明するために
約束を守ろうとメロスは必死に走りますが、川の氾濫に遭遇したり、邪魔が入ったり、何度も絶望します。
あと少しで着くというときに、親友の弟子から
「もう無理だからあきらめてください」と言われても、
その言葉で立ち止まることなく、最後は約束を守ることができた、という物語。
受験ってそういうものです。
途中何度も落ち込むもの、そして浮き沈みするものです。
受検生を支えるお父さんお母さんは、成績がアップダウンするたびに一喜一憂することはありません。
「もう諦めなさい」と言いたくなることもありますが、これが受験(受検)です。
結局、メロスは最後はボロボロになりながらも、間に合わせることができます。
受験とは、そうやって合格していくもので、浮き沈みを経てこそ、と大学受験を控える生徒たちに伝えています。
中学受験も同じではないでしょうか。
桜修館にしろ、他の学校にしろ、「ここに行きたい!」と思う気持ちを本人持っているかどうか。
途中何度も落ち込んだり、親や先生から「もうあきらめなよ」と言われても、「絶対入学したい!」と自分が思えるかどうか。
それが最後の分かれ目じゃないでしょうか。
最後に…
今回、ご紹介頂いたのはこちらです⇓
早速私も読んでみましたが、タイトルの由来が判明した瞬間は思わずグッときてしまいました…。
福岡出身・イギリス在住のパンクな母と、時々クールな中学生の息子が、「元・底辺中学校」で様々な違い(肌の色・国・大人と子供・地域・・・)に直面する、ノンフィクションです。
都立桜修館志望の子に限らず、同年代の子、それから保護者の方にも是非読んでもらいたい一冊です。
都立桜修館中等教育学校【インタビュー】まとめ
今回は、都立桜修館の鳥屋尾校長先生へのインタビューをお送りしました!
受検には浮き沈みがどうしても付いて来てしまいますが(というか「沈み」期間の方が多いかも知れませんね)、
「絶対にこの学校がいいんだ!」という気持ちを強くもって、日々取り組んでいきましょう。
この記事が、そのためのキッカケになれば、嬉しいです(*^-^*)
都立桜修館中等教育学校のホームページは