【対策】適性検査

【都立白鷗】インタビュー!

こんにちは!公立中高一貫校合格アドバイザーのケイティです。

ケイティ
ケイティ
今回は、ずっと行きたかった都立白鷗へおじゃましてきました~!ちょうど期末考査最終日ということもあり、すれ違ったみなさんニコニコの笑顔でした(笑)

なかなか終わりが見えないコロナ禍で、見学にも行きづらい年が続いていますよね…。この記事が、受検校を検討する一つの参考になりますように!

<保護者>が学ぶ適性検査サロンはコチラ【入会無料キャンペーン中!】

都立白鷗とは…

まずは、都立白鷗とは…という基本情報から紹介していきます。

浅草・上野地区という伝統的なエリアにあり、学校自体も明治に創立された非常に歴史のある学校です。

このような特色をいかして地域や伝統に深く根差した教育を受けることができるだけでなく、「開拓精神」という教育理念を掲げ、新しい時代や世界に向けて志高く進むリーダーを育てている学校です。

令和5年度からは中学からの入学のみ(高校募集停止)となり、注目している方は多いのではないでしょうか。完全一貫化することで、これまで以上に魅力的な学校になっていくと思います。

生徒さん達を見ていると、どちらかというと「おとなしめで、内に秘めた何かを持っていそう」な子が多い印象で、「実は〇〇にすごく詳しい」というようなマニアックな(?)面白い一面を持った生徒が多いそうです。

理系の分野でものすごく専門性の高いジャンルで賞を取るような生徒もいるそうで、その内容は大人が見てもびっくりするようなハイレベルなもののようです。

さらに、白鷗は日本の伝統芸能や囲碁・将棋で高い実績を出してきた特別枠の子もいるので、小さい頃から「好き」や「得意」をとことん伸ばしてきたクラスメイトから刺激をもらいつつ、一人一人が自分の内側に目を向け、アイデンティティーをしっかりと確立できる環境だと感じます。

では、ここからは宮田校長先生に伺ったお話をインタビュー形式で紹介していきたいと思います!

学校生活を「満喫✨」している生徒とは…

せっかく頑張って入学したからには、「この学校に入ってよかった!」と心から楽しんで有意義に日々を過ごしてもらいたい…というのが、保護者の方みなさん共通の気持ちかと思います。

都立白鷗で生き生きと学校生活を送っているのは、どのようなタイプの子なのか、質問してみました。

先生から見て「有意義に過ごしている」と感じる子は、「この学校で何を勉強したいか」、つまり、白鷗を目指した理由がハッキリしている子だそうです。

たとえば、

  • 三味線を一人一棹与えられ、みんなで演奏をすることのできる音楽の授業に魅力を感じたから
  • 伝統文化を学んで、海外に発信していきたいから
  • みんなと一緒に鳥越祭に参加したい!
  • フランスの姉妹校に行きたい…!

このように、白鷗のカリキュラムや特性をよく知った上で志願し、それを実現している子達は、先生から見ても充実した学校生活を送っていると感じるようです。

ケイティ
ケイティ
人格形成の土台となる多感な六年間を過ごす場ですから、偏差値や倍率などは一旦置いて、入学後に生き生きと通っている具体的なイメージが持てるかどうか…が大事です。親子でよく調べたり説明会に参加したりしてくださいね!

ところでみなさんは、東京都教育委員会が行っている「次世代リーダー育成道場」をご存知ですか?

東京都都立高校生対象留学支援 次世代リーダー育成道場 (tokyo.lg.jp)

留学にチャレンジし、そこで学んだことを活かして様々な分野で将来活躍したい!という強い志をもった都立高校生等を支援する事業で、東京都の教育委員会が行っています。

もちろん誰でも参加できるわけではなく、学業や生活態度、英語力などの高い水準を満たしていると校長先生が認めた生徒だけが推薦を受けることができ、そこから更に、小論文や面接といった審査が行われます。

この次世代リーダー育成道場に、白鷗からは昨年度(2021年)に12名も選出されています。

ケイティ
ケイティ
白鷗といえば伝統、歴史、由緒ある学校…といったイメージが強かったのですが、次世代を切り拓くたくましい開拓精神を持った生徒が多いと知り、これまでの印象がかなり変わりました。

この学校でしかできないことは?

続いて、「都立白鷗らしさ」が感じられる特徴的な授業についてうかがいました。

課題探究型学習や、充実したダイバーシティ教育が挙げられますが、中でも大きな特徴は、伝統文化理解教育だそうです。

たとえば、「上野・浅草学」を通して地域の歴史や文化、芸術について知識を深めたり、高校から始まる「日本文化概論」では、体験を通して学んだりすることができます。

ケイティ
ケイティ
これらは、他の学校にはない個性的な授業だと感じます。特徴的だからこそ、興味のカケラも無ければ入ってから違和感を感じるでしょうし、「三味線を弾いてみたい!」「茶道や華道、習ってみたい!」「上野浅草学、面白そう!」と感じる子に、ぜひ目指してもらいたいです!

日本の生活史は必修で、他には茶道、華道、書道、囲碁、将棋、音楽史…の中から選択し、一年間を通して様々な視点から日本文化について学び、体験し、理解していきます。

もちろん、三味線を触ったことが無い子もいるそうですが、中学の音楽の授業から取り組み、全員で演奏もするそうですよ!

「伝統」を学ぶことで得られるメリット

ところで、「伝統に触れる・深く理解する」というワードが何度も登場しましたが、中学・高校を通して伝統を学ぶその意図は一体何でしょうか。

校長先生がおっしゃるには、「日本人としての誇りや、自分のルーツを認識できるようになること」がねらいだそうです。

都立白鷗は先述した「次世代リーダー育成道場」に応募する生徒も多く、アメリカ研修旅行、フランス短期留学、オーストラリア短期留学…など、学んできた日本文化を海外で発信する機会が豊富にあります。

日本文化や伝統は「体験して終わり・話を聞いて終わり」になりがちですが、中・高通して学びを深めることで気付きが醸成され、発信する場があることでより積極的に学ぼうとする、という循環が生まれているのでは、と感じました。

十代というのはアイデンティティの確立に深く悩む時代ですが、「自分とは何か」を探すときの一つのヒントになるのが、自分のルーツを知ることだと私は思います。

海外へ行くと、これまでとは違った視点で日本をとらえることができるようになったり、日本を深く知ることでその違いから海外の文化を理解することもできるようになりますよね。

つまり、伝統を学び理解することは自己の確立や、多様性を受け入れる姿勢を身に付ける土壌づくりになります。

真の国際人として羽ばたくために、白鷗の伝統文化理解教育は大事な土台となるカリキュラムだと感じました。

ケイティ
ケイティ
余談ですが、私も中高一貫校で海外研修へ行ったとき、日本の制服や日本人の信仰について尋ねられたことがあります。でもそのとき全然答えられず、「私は自分が生まれた国のことを全然知らないんだな」と衝撃を受けた苦い思い出があります…。

今回、校長先生のお話を聞いて、「グローバル」と「伝統文化」という相反するキーワードも実はバラバラなものではなく、リンクしながら徐々に生徒の心に深く根ざし、誇りを持って活躍する人材に育てるためにはどちらも欠けてはならない「柱」なのだと気づきました。

また、白鷗には帰国枠や特別枠での募集があり、様々なバックグラウンドを持った生徒がいるため、自分とは異なる視点を持った存在と過ごし、「同い年なのに色んな子がいるんだ」「こんな違いがあるんだ」と知ることも、多様性を尊重するきかっけの一つになる、とのことです。

課題探究型学習とは?

都立白鷗が行う教育の柱の一つに、「課題探究型学習」があります。

中1は、浅草・上野探究活動の中からある程度テーマが決まったものに取り組むそうですが、課題の設定方法など、「探究の方法」から学ぶことができます。

課題発見力、というスキルは適性検査でもよく取り上げられるテーマですが、「課題解決」とは異なり、自分の内面や、社会に目を向けて関心を持たなければ課題は発見できないので、実は難しいことだと感じます。

「これについて学びなさい」と与えられるのではなく、興味や関心といった原動力をもって、積極的に働きかけ、調べ、把握しようという姿勢がなければ課題は発見できません。

この力が身に付くと、大学や大学院に進んだとき、論文や研究計画書を書くときにも白鷗で得た学びが大いに活かせるのではと感じます。

ダイバーシティや伝統文化理解といった他の二つの柱もそうですが、全てが「卒業後の武器になるように…」という考えが根っこにあると思いました。

都立中に通っている子は、小さい頃から「夢中になれる何か」を持っている子が多く、このような探究学習は非常に楽しいはずです。

「入学したら思いっきり取り組みたいこと」がハッキリしている子にとっては、自分で課題を設定してとことん探究し、それを周りに発表する機会のある環境は、厳しさもあるとは思いますが、それ以上にやりがいを感じると思います。

東校舎の建て替えについて

白鷗には中学1・2年生が過ごす東校舎と、中学3年生と高校生(4~6年生)が過ごす西校舎がありますが、今後、東校舎は建て替えとなります。

ケイティ
ケイティ
完成は(今のところ)令和9年度の予定なので、もう少し先ですね!

建て替えが始まってから完成までは、新しく入る子たちは西校舎(現在は中学3年生と高校生が過ごしているところ)にできる、仮設校舎に入ることになります。

「仮設校舎」…と聞くと、なんだかなぁと感じる方ももしかしたらいらっしゃるかもしれません。
ですが、私の個人的な意見としては、入学してすぐの12歳、13歳の子たちが高校生のお兄さん・お姉さんの存在をすぐそばで感じながら過ごすことができるのは、大きなメリットだと考えます。

私も、中高一貫校に入学したとき、高校生の先輩方はどう背伸びしても届かないくらい大人に見えましたし、憧れの存在でした。

ケイティ
ケイティ
高校生は、先生よりもよっぽど怖い存在でした(笑)

でも、先輩との関わりの中で上下関係を学んだり、先輩になったときに今度は自分が後輩を支えたりした経験は、宝物だと思っています。

冬になると、高3の先輩方が大学受験に向けて電車待ちの時間も惜しんで参考書を広げている後ろ姿を見ながら、自分も努力して同じ大学に入りたい!と決意したものです。

今後、仮設校舎で過ごす新入生たちは、敷地が分かれていない分、身近に高校生の存在を感じながら過ごすことができるため、「6年後の自分」を想像しながら目標を持って過ごせるのではないかと思います。

完全一貫化のメリット

令和5年度から、都立白鷗は中学募集のみとなり、完全一貫化することが発表されています。

ということで改めて、一貫化のメリットについてどのような考えをお持ちなのかを聞いてみました。

やはり一番大きいのは、六年間を通してカリキュラムの分断なく指導できることにより、生徒の第一志望を叶えてあげられること、だそうです。

開設当初から華々しい進学実績を叩き出し、都立中の先駆者として駆け抜けてきた都立白鷗ですが、完全一貫化によって先取りも可能になり、今後ますます伸びていくのでは…、と想像します。楽しみですね!

ケイティ
ケイティ
白鷗には、「辞書は友だち、予習は命」という合言葉があります。日々の学習を大切にし、真面目にコツコツ取り組める強さを持っているのが白鷗生なので、これからさらに躍進していくと思います。

なお、白鷗では、英語、数学、高校からは国語の一部の授業も、習熟度別で行っているそうです。

習熟度別、とは、「もっと取り組みたい!もっと難しい問題を解きたい!」という子にはとことん挑戦できる環境であり、逆に、「苦手💦」「難しい…」と感じる子には理解できるまで教えてもらえる環境でもあります。

中学受検という山を越えてきた子達の集団だとは言っても、当然、科目ごとのレベル差はあります。そこで一律のレベルで授業を行うのではなく、習熟度別にすることで満足度と学力向上の両方が得られるというメリットがあります。

ケイティ
ケイティ
ただ、マンパワーという面で負担は大きいと思います…。先生方は相当お忙しいのではと思いますが、私自身、中高一貫校で泣きべそをかいていた数学と化学は習熟度別授業のおかげで救われた思い出があります。付いていけず苦痛でしかたなかった授業が、理解できるようになったら一気に面白さに気付けたのも、先生方のフォローのおかげです…。

白鷗でも、付いてこれない状態を作らないよう先生方が補習したり課題を与えたりと個別対応を行いながら、学力面のサポートをしているそうです。

そして高3になるとクラスとは別に「チーム難関」が結成され、放課後や家庭学習時間を使ってどんどん発展的な学習ができる仕組みがあるそうです。

参加する成績などの条件は無いそうですが、参加していても課題に取り組まないことには当然先に進めないので、「行きたい大学に向けて絶対頑張るんだ!」という強い気持ちは必要かと思います。

白鷗の部活動

白鷗では、約90%の生徒が部活に入っているそうです。

練習頻度が高いものから低いものまであるため、生活リズムにあわせてみなさん選んでいるようです。

特に百人一首部が有名で、約70名の大所帯だそうです。凄いですよね…!

ちなみに、つい先日行われた大会は、YouTubeでも配信されています(なんと優勝!)。

第八回白瀧杯

他にも、囲碁・将棋部や和太鼓部など、白鷗らしい部活もありますよ。もちろん文化部だけでなく、サッカー部をはじめ様々な運動部も、都大会出場など大活躍しています。

宮田校長先生からのメッセージ

さて、ここまでたくさんのお話を伺ってきましたが、最後に、毎回恒例(?)の質問、「これだけは読んで欲しい!という一冊」を伺いました。

それがコチラです📖

※シリーズになっています。また、幼児・低学年向けに再編集された12冊セットもあります。

伝統文化の根幹にあって一番身近なものは「日本語」であり、私達日本人が日本人として成り立つためには欠かせないものなので、その価値をきちんと認識し、言葉を大事にしてもらいたい、と宮田先生はおっしゃいます。

小学生のうちから日本語の美しさに触れ言葉を大切に扱い、その上で入学後、地域や伝統を学び、自分に誇りを持って他の言語や世界に目を向ける…そうすれば、都立白鷗で過ごす六年間は、非常に充実したものになりそうですね。

なかなか声を出して会話することも気をつかう昨今の状況で、どちらかというと「黙」という字をよく目にしたこの三年。ご家庭でゆっくりと美しい言葉を声に出して読み、日本語の響きや音について改めて考える・感じることで、日本語の美しさに気付く機会になるのではないでしょうか。


【まとめ】都立白鷗インタビュー!

宮田校長先生は、これから大学受験に挑む高3生全員と面談し、その最後に「受験は、どんなに努力しても結果がついてこないこともある厳しい世界ですが、絶対に後悔しない一年にしてほしい」、と伝えているそうです。

校長先生が生徒のことを「うちの子」と呼んでいる様子から、愛情深く信頼して生徒のことを考えていることが、会話の端々から伝わってきました。

「中・高の六年間はその人の人生を形成する決定的な期間。入学したからには有意義な六年間を過ごし卒業してもらいたい」、と繰り返しおっしゃっていたのも印象的です。

中学受検が終わったあとも、日々の学習や六年先の受験、それから卒業後社会に出たあとも、厳しい競争は続きます。
競うべきときには本気で競い合うこと、そして、「自分さえよければいい」「その場が収まればそれでいい」と思うのではなく、周りときちんと協働してお互いが納得できる落としどころを探せること、この競争協働のバランスが取れるたくましい大人になってほしい…。そんな先生の願いを強く感じたインタビューでした。