保護者の方からの相談で最も多いのは、何だと思いますか?
それは、「ウチの子、まだ間に合いますか?」という質問です。
今や大人気の公立中高一貫校。合格するために2年生、3年生から通塾する子も珍しくない時代になりました。5年生以降に受検を検討するお父さんお母さんが不安になるのも、当然だと思います。
今回は、そんなお悩みを解決し、今日から取り組む具体的な受験対策をお送りします。
「5年生からでも合格できますか?」の答え
結論から言うと、『できます』。ただし、効率の良い学習スケジュールを立てる戦略と、家庭でのフォローが不可欠です。ただやみくもに過去問やテキストに取り組むだけでは、あの高倍率はなかなか突破できません。
私が担当していた公立中高一貫校クラスは、五年生の4月~夏休みに入塾する子がほとんどでした。その時点では、多くの子が作文はボロボロ、分数の割り算・掛け算もちょっとあやしいぞ…という状況で入塾してきます。
それでも、2年後には半数以上が公立中高一貫校に合格したのです。併願した私立も含めると、ほぼ全員が合格実績を残して卒塾していきます。
もちろん、低学年から適性検査をターゲットにして基礎学力を積んでいった子はかなり強いです。適性検査に必要な「発想力」「数字の感覚」が優れているからです。
けれども、多くの生徒が5年生から受検勉強をスタートさせ合格していることは、まぎれもない事実です。
つまり、必要なのは「年数」ではありません。「何に取り組んだのか」が最も重要なのです。
過去問は似た傾向の学校を選別する
過去問集は、絶対必要なアイテムです。通称、「銀本」と呼ばれるものです。
もし持っていないなら、amazonでも買えますので、できれば数年分購入してください。私は2008年度版から最新版まで揃えていて、いつでも開けるようにしています。(リビングに置いてあるので、家事をしながら急に思い立ってパラパラ見る時も・・・(笑))
塾に在庫があれば、貸してくれたりコピーをしてくれたりすると思いますが、受検までに何度も取り組むことを想定すると買っておいた方が良いですね。少しお高いですが、それ以上の効果があります。ただし、注意点が一つあります。
1ページ目から全部やろうとする子がいますが、それは止めてください。最後まで終わった子は今までほとんど見たことがありません。99.9%が途中で投げ出します。
なぜなら、全国の公立中高一貫校の中では、大人も解けないような難問をゴロゴロ出す偏差値70超えの難関校もいくつか存在するからです。
そのような学校の問題にチャレンジしても、やる気を下げてしまうだけです。
(もちろん、そういった難関校を受検するならやるべきです!)
まずは、志望校の偏差値をチェックして、似たランクの公立中高一貫校を全国から探しましょう。シリタスというサイトが参考になりますよ。
偏差値は「どの機関(たとえば四谷大塚、SAPIX)が測ったか」によって数字が変わるので、あくまでも参考でお願いします。
近い偏差値レベルの学校がおそらく何十校もあると思うので、その学校の過去問を実際に銀本で見てみてください。
「この学校は明らかにタイプが違うな」と思うところは、取り組む学校から外してOKです。
リストアップができたら…
ターゲットにする学校が決まったら、その学校の過去問を最低3年分はコピーしてください。
直接書き込むと2回目、3回目取り組む時に気が散ってしまうので、なるべくコピーしたものを使うようにしましょう!最近はスーパーでもコピーができるお店が増えて、便利になりましたよね…。
できれば学校は10校くらいリストアップできていることが理想です。
10校×3年分、それも1度ではなく2度3度取り組めば、かなりの演習量です。
もしリストアップする学校がサッパリ分からない!という場合は、お気軽にhttps://katy-tekiseikensa.net/mail/ からメッセージをくださいね!アドバイスします。
ワークブックを購入する
理科・社会
理科と社会に関しては、市販のワークブックを1冊ずつ持っておくのがおススメです。
5、6年生で習うすべての単元がざっくりまとめられているものが良いですね。
これは、実際にお子さんと本屋さんにいって自分で選ばせてください。
「これ面白そう!」「これなら全部できそう!」と自分で選んだものはやっぱり嬉しいものです。
そしてそのワークは、終わったら何回も何回も繰り返して使ってください。
新しい参考書を次から次へ買い与えることは意味がありません。「これがいい!」と決めたものを繰り返し使ってください。
算数
算数は、ドリルタイプのものがおススメです。色んな単元(図形や速さなど)が含まれている応用型ではなく、計算問題をひたすら解くドリルタイプが一番効果的です。
そんなに難しくないもので大丈夫です。1日10分ほどで2ページずつ進められるような計算ドリルが理想です。
適性検査の理系分野で必要なのは、パッとみて「倍だな」「10分の1くらいだな」と把握する「数的感覚」と呼ばれる能力です。この能力は、とにかく数字にたくさん触れることで養われます。
計算ドリル以外にも、「ナンバープレートで10を作るバトル」もおススメです。
これは私が日能研の灘特進クラスに通っていた時に、算数の先生から教わったゲームです。
車に乗っている時、前を走る車のナンバープレートの数字を使って、10を作る速さを家族で競います。やってみると盛り上がりますよ!
たとえば、23-85というナンバーなら、(8-2×3)×5=10、という式ができます。組み合わせによっては正解の式がいくつもあるので、兄弟で競争するのも面白いですよ。
これは私が知っているナンバープレートゲームの中で一番難しい問題です。ぜひお子さんと挑戦してみてください!(5年生でもちょっと難しいかも…)
3 4 7 8 で10を作ってください。
回答→(3-7÷4)×8
(→の後ろをコピーして色を反転させると答えが見えますよ!)
作文
作文は、ちびまる子ちゃんの作文シリーズがおススメです。イラストも多く、作文が苦手な子でもすいすい読むことができます。
もし、500字程度サラッと書ける子であれば、買う必要はありません。たくさん本を読んで知識を増やし、漢字に触れる経験を積んでください。
合格には内申点も大切!
公立中高一貫校の受検において、おろそかにできないのが「内申点」です。
たとえば都立の立川国際中等教育学校では、1000点満点中200点を内申点が占めています。これはなかなか大きいですよね。
しかし、学校の先生に「内申点、お願いしますよ!」なんてプレッシャーはかけられません。(かけたい気持ちは山々ですが…)
そんな時遠回しに、根回しをするワザ(?)をある保護者の方から学んだので、ご紹介したいと思います。一緒に聞いていた塾長と、「お母さん、うまい!」と思わず拍手した方法です。
内申という言葉は一つも使っていないのにもかかわらず、「この子は中高一貫校を受ける子なんだな(=内申が影響する子なんだな)」という事を先生にきっちり刷り込むことが出来ています。かつ、「お母さんが学校生活を熱心にサポートしてくれている」というプラスイメージまで与えています。
ただし、学校の先生の中では「受験すること」に前向きでない先生もいると聞きます。その場合は、いっそのこと「受験する」ということすら言わなくて大丈夫です。
「『忘れ物をしない』『宿題をちゃんとやる』という約束をしたので、守っていなかったらすぐ教えてくださいね」と面談の時に言っておくだけで効果があります。
なぜなら、宿題や忘れ物の有無で内申点は左右されるため、改善されれば結果的に内申アップに繋がるからです。いいことづくめですね!
塾は使い方次第!
公立中高一貫校を受ける場合、いつから塾に通えばいいですか?という質問、よく受けます。
もし塾の先生に聞いたなら、「いまからでもすぐ通った方がいいですよ!」と言うと思います。(なぜなら塾生を集めるのも一つのノルマだからです)
けれども、ワークや過去問演習がきちんと家庭で取り組めるのであれば、塾に通う必要は無いと私は思います。
「何をしていいか分からないから、とりあえず塾に行こう」と考えている方がすごく多いのですが、塾に通うデメリットも忘れないでください。塾はクラスの理解具合に合わせて進めるので、無駄も多いのです。
それよりも、おススメなのが単発の特別講座や、無料の学力テストだけ利用する方法です。
例えば「夏期講習」や「適性検査直前対策」は、1コマ数千円で設定されていることが多く、そこから集客する(=通年の契約に繋げる)ために手厚くフォローするので、値段以上の価値があります。
また、学力テストも同じく、無料(もしくは割安)で受検生を集めてそこから「塾に通おうかな」と思ってもらうことを目的にしています。(CMで見かける『全国統一小学生テスト』はまさにそれです。)
こういった公開テストはかなり良い問題が使われていますから、受けるだけ受けておくといい練習になります。解説授業では適性検査のノウハウも教えてくれるし、同じ受検生の集団を体験するのは刺激にもなります。
こういったイベントの時だけ利用するご家庭も結構多いですよ。
受検対策期間のまとめ
「公立中高一貫校の対策はいつから?」問題。私の経験上、最低で1年半あれば何とかなります。上位校でなければ1年でもしっかりやれば間に合います。
ただし、学習の軸(受かるために何が必要か?)をしっかり持つこと、それから塾を上手に利用することが不可欠だと思います。