直前期になると、不安で不安でたまりませんよね。特に公立中高一貫校は難易度が高い上に倍率も高いというハードな受検ですから、不安になるのも当然です。
そういう私も、毎年冬が近づくと怖くて怖くて仕方ありませんでした。特に1年目は、「受け持った生徒が受検に落ちて立ち尽くしている夢」を見て飛び起きる日が続いたもんです…。私立クラスを担任していたときは全然そんなことなかったんですけどね(笑)私立とは倍率の高さが違いますから…。
講師の私でも不眠症になったくらいなので、実際に受検するお子さんを持つ保護者として抱える不安の大きさは、計り知れません。
12月や1月の直前期に開催する保護者会の時、立ち話をしていると急に泣き出すお母さんが毎年何名かいらっしゃるんです。「一番不安なのは子供自身だ」とは頭でわかっていても、大人だって不安で不安で仕方ないですよね。。
なので今回は、私が実践した「不安を逆手にとって点数に繋げる方法」を紹介したいと思います。ぜひご家庭で取り入れてみてくださいね!
【公立中高一貫校の倍率】ってどうなってるの?
公立中高一貫校の倍率は、開設ラッシュの頃と比べると低くなってきている学校が多いです。都内だと5倍から7倍の学校が多いですね。それでも、やっぱり高いことに変わりはありません。
ちなみに倍率とは、☆倍なら☆人に1人受かる、ということです。
具体的にいうと、「倍率5倍」なら「5人に1人受かる」という意味です。
倍率の推移やその理由については別の記事で詳しく説明しますね。
公立中高一貫校の倍率を調べてみると、10倍を超える学校もありますよね。そんな数字ばかり見ていると、なんだか感覚が麻痺してきて4倍5倍なら「低い!いけそう!!」と感じてきてしまいます(苦笑)
でも、名門の私立でも2倍前後のところが多いので、4倍5倍、ましてや10倍超えなんて、とんでもない世界なんですよ!
そんな厳しい競争に、12歳の子どもが挑戦しようとしているのです。本当にエライです。大人の世界でも、そんな困難な試練にチャレンジしようとしている人はなかなかいないですよね…。
公立中高一貫校の倍率を考えて気持ちが負けそうになることも
本番に向けて一生懸命頑張っていると、ふと「倍率」という壁にぶつかる時があります。
- こんな頑張っても5人に1人しか受からないの…?
- ○○ちゃんは受かっても、私はダメかも…
こんな風に考えてしまう日が必ずあります。これは自然な気持ちです。
講師である私でも、「このクラスには30人も来てくれているけど、倍率通りなら20人以上は不合格になる…」と考えると怖くて怖くて、震えてしまった時が何度もありました。1人1人に思い入れがある可愛い生徒たちです。私を信じて通ってくれているので、悲しい顔は絶対させたくありません。でも倍率が…。その繰り返しにグルグル飲み込まれてしまったことがあります。
なぜ不安になるかを分析してみる
まず私は、「なぜ不安になるのか」を深く掘り下げて考えてみることにしました。
答えは簡単で、「2月3日が近づいてきて、現実味が出てきたから」しかありません。
保護者の方も同じではないでしょうか。
お子さんが「受検したい!」と言った時は、高い倍率を知って悩みはしたけれど、今ほど潰されそうな不安は感じていなかったはずです。
つまり、いま感じている「落ちたらどうしよう…」という恐怖は、時間とともに勝手に膨らんだお化け風船のようなものなのです。倍率が時間とともに高くなった訳ではありません。頭の中をしめる「不安」の割合が高くなってしまっているだけなのです。
その「不安風船」を、針で突いてプシューッ!と小さくするイメージを持ってください。そして、「どうサポートしてあげるか」という視点で頭をいっぱいにしましょう。なぜなら、12歳の子どもは大人ほど上手に「不安」をコントロールできず、親の支えが絶対に必要だからです。
適性検査直前期の「あるある」
年末って、大人でもなにかとそわそわしますよね…。お祭り騒ぎのハロウィンが終わったかと思いきやクリスマスムードが始まり、お正月のまったりムードは目前。そんな時期、2月に受検を控えた子どもたちは世間の浮かれモードに敏感に反応してしまいます。全く影響されずに黙々と勉強できる子なんて、まぁ居ません(笑)
何百人と受検生を見てきた経験からいうと、次のようなパターンに分かれます。
①焦りがマックスになり、空回りする子
②急に反抗的になり、全く勉強をしなくなる子
1のタイプは、女子に多いですね。都立武蔵中を目指していたMさんは、12月から突然、朝5時に起きて登校前に勉強するノルマを自分で決めました。冬なのでまだ外は真っ暗で寒い中、お父さんと一緒に早起きを頑張ったそうです。大人でも尊敬するほどの努力家の女の子でした。しかし、寝不足のせいもあったのか気力がガクンと落ちてしまい、最後の1か月はとにかくよく泣いていました。。
2のタイプは、男子あるあるですね…。直前期になると急に無気力になる子がいます。もともと私立を目指していたけれど5年生から方向転換したサッカー少年のRくんが、まさにこのタイプでした。お母さんが途方にくれて相談に訪れ、特別に毎日1時間個別でサポートをしたのですが、観察すると、問題を解き始めて10分もしないうちに鉛筆をくわえて遠くをぼんやり見て、手が止まってしまうのです。。
現実逃避のススメ
上の2人のような受検生に必要なのは、結論からいうと「現実逃避」です。
「現実逃避って逆効果じゃないの?」と思いますよね。でも実は、現実逃避には2種類あり、うまく利用すれば非常に大きな効果を生み出すことができるのです。
プラスの現実逃避法を身につける!
『24時間テレビ』や『エンタの神様』など、大ヒット番組を多数手がけた五味一男さんという有名プロデューサーをご存知ですか?
「テレビの歴史を創った50人」(小学館)にも選ばれ、大学や企業でも講演を行なっている五味さんですが、その著書に「賢い!『現実逃避術』」、という本があります。
(中略) では、プラスの現実逃避術とは……、あらゆるストレスや苦悩を吹き飛ばす強力なパワーをもち、それでいて自分を前向きに向上させてくれる、常識を超えた手法です。
例えば……、「学び」が楽しくて、楽しくて、われを忘れて勉強し続けてしまう。
こんな「没頭」ならば、辛い現実を忘れているうちに、やがて大きな成果を生みだすでしょう。
(ITmediaエグゼクティブ:成功者になれる人にしか理解できない!?プラスの現実逃避 より引用)
もちろん「適性検査から逃避!」と言っているのではありません。
そうではなくて、「不安にな気持ち」ばかりに注意力を奪われるのは、もったいない!、と伝えたいのです。落ちた時を想像して「あぁ~~!」と頭を抱える時間に、1枚でも作文を仕上げた方がよっぽど有意義なのは、言うまでもありませんよね。
つい「失敗したら…」「ダメだったら…」と考えて足がすくんでしまう直前期だからこそ、淡々とこなせる課題を山積みにして、没頭させてあげましょう。
なぜなら、「空回りする子」「無気力になる子」は、「何をしていいか分からないから、不安にばかり気がとられてしまう」ケースが圧倒的に多いからです。
細々した課題を与え、「何も考えずに済む」心境へ誘導してあげられるのは、保護者しかいません。塾の講師では、1人ひとりを個別に支えることは現実的に難しいからです。
では具体的に何をさせればいいか?というのは、受検生向けの動画を作っていますので、見てもらうのが早いと思います。まずは保護者の方が見て、声がけの参考にするのもいいと思います。試験本番1週間前に行う「最後の激励会」で毎年必ず伝えている内容を含む、めちゃくちゃアツいメッセージです(笑)
「適性検査」直前期の不安対策まとめ
公立中高一貫校の高い倍率は、どんなに悩んだところで下がってはくれません。
やるべきことは、とにかく1点でも加点を増やす努力、それだけです。
けれども、「倍率の不安風船」がパンパンにふくれてどうしようもなく気持ちがざわつくのも分かります。
そんなときこそ、「プラスの現実逃避」で弱点克服に没頭するよう誘導してあげましょう。そしてその取り組みが、結果として「あと1点」を増やすことに繋がるのです。