本日、2021年2月3日、今年も都立中の適性検査が行われました❕
まずは、チャレンジしてきたみなさん、おつかれさまでした。そして、これまでサポートなさってきたお父様お母様方も、おつかれさまでした❕
この記事は、本日2021年2月3日に実施された都立中の適性検査Ⅰ(共同作成問題)を分析してみたいと思います。
(編集中です~随時アップしていきます!)
- 都立小石川
- 都立武蔵
- 都立両国
- 都立富士
- 都立大泉
以上5校は、共同作成の文章題が出題されています。
2021年の出題文章は河合隼雄さんと村田紗耶香さん
文章2題なのはこれまで通り。
文章1は、河合隼雄さんの「『出会い』の不思議」からの出題(2015年出版)
文章2は、村田紗耶香さんの「となりの脳世界」からの出題でした(2018年出版)。
「となりの脳世界」についてはエッセイということもあり会話文が多く、
去年出題の三浦しをんさん「愛なき世界」(物語文・同じく2018年出版)に続き、会話や感情の揺れ動きの中から要旨を掴み、もう一つの文章の主旨と絡める、という訓練をしてきた子には、「やっぱりな」という感じだったかも知れません。
「「出会い」の不思議」の要約
文章1のテーマは、「学びを楽しむ」です。
この文章の中で、孔子の
「子曰く、之れを知る者は之れを好む者に如かず、・・・」が紹介されています。
このテーマは、次世代リーダー育成を目指す公立中高一貫校と非常に親和性が高いテーマと言えます。
たとえば2020年にも、宮崎県立の都城泉ヶ丘高附属でもまさにこの一節が出題されています。
意外と孔子「論語」はよーく出ていて、名門・福井高志中でも2019年に4文チョイスされています。
また、2016年には岡山操山中でも同じく論語から。私立適性検査型でも昭和学院中で2019年に論語が出題されています。
話が飛びましたが、今回の文章の要旨としては、こんな感じ⇓
最近は、情報化社会なので、とにかく「早く」情報を知ることが大事です。
でもそれってちょっと疲れますよね~。
結局、最新情報を追いかけることや、情報量の多さに疲れちゃって、「知る」ことに自分の意思で関わっていこうとする気力がなくなっちゃう。
でも、何かが「好き!」という人は、疲れ知らずで情報を得に行こうとする。そういう積極的な姿勢がある。そうやって「好き!」と感じる何かが、その人の個性になる。
でも、「好き!」って時々はた迷惑なことってありますよね。「私、これ好きなんだよね~!」って何か好みを押し付けられるのも引くし、「これが好きすぎて辛い!」みたいな状態の人って、見ててイタイ。
「好き!」は「知る」だけよりかは上だけど、実はその更に上のすごい段階として、「楽しい!」があります。
「知る」⇒「好き!」の2段階を超えて、さらに「楽しい!」というのは、積極性(もっと知りたい!)と、安らぎ(これやってると落ち着く~心地いい~)の両方を持っているんだよ。
(以上。小学生に伝わるよう、だいぶケイティ主観で噛み砕いています)
では続けて文章2に行きましょう。
「となりの脳世界」の要約
こちらの文章は、割と読みやすいのですが、おそらく、文章1とどう繋がるのか、ピンと来なかった子も多いかも知れません。
ざっくりと内容を言うと、「小鼓(こづつみ)」(芸人さんの、すゑひろがりずが持っているアレです)を習いに行った筆者が、あこがれだった小鼓の音色に触れて、「わ~小鼓って奥が深い!また習いたいな~」と感じた、という話です。
個人的には、論語にも出てきた「楽しむ」という漢字『楽』は、「楽器」という言葉にも使われている通り、自ら行動して音を鳴らすもの、つまり、「好き」は眺めているだけでも「好き」だが、「楽しむ」は自らの行動を伴うもの、という意味がある言葉です。このあたり、文章2で「楽器」の話をチョイスしたとすると、深い~~~と思いました。
話が飛びましたが、
大事なところとすれば、
・素直に先生の話を聞いて、一生懸命演奏したら、うまく音が鳴って感動したシーン
・お稽古が終わって、先生に「ありがとうございました」というシーン(「学ばせてくださった」という気持ちを込めて深く頭を下げた)
・振り返りのシーン(「短い時間」だったけれど、確実に自分の中に刻まれた体験だったな~と振り返っています)
このあたりかと思います。
適性検査Ⅰ得点のカギ
今回の問1、問2はそこまで難易度は高くありませんが、ぼうせん部ア(文章1にある)の内容を文章2から、ぼう線部イ(文章2にある)の内容を文章1の表現を使って、と言う風に、
問題部分と答えで使わないといけない文章がクロスしていることに注意が必要です。
その辺りの条件を見落とさないよう、「どこから探すか?」の指示は必ず線を引くようにしておきたいところです。
また、問2ではおそらく(まだ答え見ていないので分かりませんが)、文章1の「気負う」という表現を使った方がよいと考えます。(文章2で、先生から褒められてつい気合入れすぎて変な小鼓の音が出たシーンだから)
ただ、「気負う」という言葉の意味を知っていたかどうか…そういった語彙力でも問2の難易度は人により変わったかな、と感じます。(意外と小学生では馴染みのない単語かと思うので)
作文のカギ
問3の作文については、文章2の小鼓が、筆者にとって、「知る」「好き」「楽しい」のどの段階かを説明する作文を書かなければいけません。
まず、これは正解はコレ!というものは無いと考えます。たとえば、「筆者は『知る』の段階だな」と思えばそれで答えを書いていくし、「『好き』の段階だな」と思えばそれで答えを書いていきます。
この文章は、「知る」「好き」「楽しい」のどれを選んでも良いと思いますが、それを論理的に説明できるかどうか、が鍵になってくるはずです。
まずは落ち着いて、条件をしっかり確認しましょう。
- 「知る」「好む」「楽しむ」のどの段階か?
- その根拠は?文章2から具体的に示し、文章1と関係付ける
- ちがう意見の人(①で意見が割れた人)の理由を想像し、その内容に触れながら筋道立てて説明する
この条件、サラッと読んで分かったつもりで書いてしまう子が多いですが、キッチリカッチリ、条件通りのボールを返すようにしてください。そこが加点基準となるためです。
たとえば条件①、「どの段階か自分の意見を明確に示す」とあるので、
(例)「筆者は、お稽古の場面では「好む」の段階だと考えた。」
このように、ズバッと条件通りに断言をしてください。意外とこの前に何かしらの前置きを色々入れてしまう子がいますが、それはさておき、まずは聞かれたことにズバッと!答えてください。
次に条件②では、「根拠となる箇所を文章2から具体的に示し、」とあるので、
「文章2では、筆者が、〇〇という場面で、~~~と感じている。また、××と先生に言われた場面では、~~という反応をしている。」
こんな感じで文章2の場面を具体的に使ってください。
そのあと、「文章1と関係付けて」と言われているので、
「文章1では、~~という姿勢が「知る」ことだと述べている。そのため、文章2における筆者の~~という姿勢は、「知る」段階であると私は考えた。」
このようにリンクさせます。
この、「関係付けて」というのが意外と子供達にはピンとこないみたいで、異なる文章のエッセンスをうまく関連させる・絡ませる、というのは、なかなか難しいことだと感じます。
次に条件③では、「自分と異なる意見の人の根拠」を想定したうえで、それに対して「分かってもらえるよう説明する」と指示されています。
ここが3段落の中で最もボリュームが必要かと思います。
まず最初の骨組み段階で、1・2段落はアッサリ、3段落は重そうだぞ、と気付けるように、最初の台本(骨組み)を考えてから書き出す練習をしておきたいところです。
自分が「知る」だと思ったとしても、三段落目で他の段階の人たちの根拠も想定しないといけないので、結局、別の段階の根拠まで考えないといけないという、なかなかに時間を取られる問題だと感じます。
また、気を付けないといけないのが、作文のテンプレートとしてよく習う、
最後に「今後は、中学校生活において、~~していきたいと思います」という決意の締めくくりは、今回は全く必要ありません。
いつも書いている・そう習ったからといって、いつもの型にはまる出題とは限りませんから、そのあたりも柔軟に判断したいところですね(^^)/
適Ⅱも分析中です~
解き終わり次第、またブログにアップします♬