こんにちは!公立中高一貫校合格アドバイザーのケイティです。
2019年2月14日、「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」が発表されました。
都立中高一貫校に関連ある内容を抜き出すと、
- 立川国際の小中高一貫化(2022年度)
- 富士・武蔵の募集拡大は2021年度から
- 両国・大泉の募集拡大は2022年度から
- 白鷗は未定ですが2021年度以降拡大で計画中(発表待ち)
高校入試廃止による募集枠拡大は昨年から話が出ていましたが、ようやく新しい情報が出てきましたね!
高校入試廃止による中学入学枠拡大によって、2021年以降の受検倍率がどう影響されるか、分析していきたいと思います。
都立高校改革による都立中高一貫【倍率へのインパクト】は大きくない
結論からいうと、募集枠が拡大するからといって、いまの高倍率が大きく緩和されることはありません。
実際にシュミレーションしてみましょう。
今回は都立大泉(女子)の場合で予測してみます。
募集 | 受検者数 | 受検倍率 | |
2019年実績 | 60人 | 369人 | 6.2倍 |
予測1 | 80人 | 369人 | 4.6倍 |
※2019年と同じ人数が受検したと仮定しています。
※現在の60人募集から、都立三鷹(中等型)と同じ80人に増加したと仮定しています。
枠が増えたにも関わらず、受検生が1人も増えなかったとしても、倍率としては1.5倍ほどの差です。(6人中1人合格が約5人中1人合格に変わる)
しかし、枠が増えた分確実に受検生は増えますから、(新規+他校からの流入)
倍率としては「結果的に全然楽になってないんですけど…?」という数字になりそうです。
高校入試廃止により都立中高一貫の倍率が高くなる可能性もあり
枠が増えたところで、あまり楽観視はできない、ということはお伝えしました。
しかし、逆に増えるということも考えられないでしょうか。
仮に、最近で一番受検者数が多かった年(平成25年)と同じ受検生が集まったとすると、
募集 | 受検者数 | 受検倍率 | |
2019年実績 | 60人 | 369人 | 6.2倍 |
予測1 | 80人 | 369人 | 4.6倍 |
予測2 | 80人 | 615人 | 7.7倍 |
そうなんです。緩和されるどころか、増える可能性もあります。
しかしながら、こう考えてみてください。
これだけ人数の集まった平成25年の倍率は10倍を超えました。でも、枠が増えたことによって、7.7倍で済んでいるのです。
もし仮にお子さんが受けた年が、数年に一度訪れる「人気爆発年」にあたってしまったとしても、今までの異常な倍率に比べるとまだ良心的な倍率で済みそうです。
そういう意味でも、良くも悪くも募集枠拡大によるインパクトは想定内、といえるでしょう。
中等型のメリットはもはや魅力的ではない
今回、都立の中でも人気の高い学校が募集枠を拡大することになりましたが、
「中等型になったから」といって人数が大きく動くとは思えません。
以前は、「中等型はこんなに素晴らしい」とメリットばかりうたわれていましたが、
最近は中等型、附属型のメリット・デメリットの神話は薄れつつあります。
なので、中等型化することにより受検生が増えるとするなら、
- 枠が増えた⇒もしかしたら入れるかも?という希望層
- 枠が増えた⇒中等型が第一志望だったけど、こっちに変えようかな?というスライド層
この2パターンが主かと思います。
しかし、このどちらも、全く気にしなくて大丈夫です。
枠が増えたから志望校を変えるような相手は敵ではない
ちょっと強気なタイトルになってしまいました。。
例えば都立「高校」の場合は、応募倍率を見てから志望順位を変える、という戦略はよくあります。(「どこかしらに入らないと…」という意図ももちろんあります)
しかし、都立「中」の場合はほぼありえません。
枠が20名程度増えたところで、「じゃあこっちに乗り換えようかな」と転換するご家庭は、まず少数派です。
なぜなら、公立中高一貫校受検生は、「絶対に!何がなんでも!!この学校!!!」と、かける気合いが非常に高いからです。
さらにきつい言い方にはなってしまいますが、「安全策」で志望がゆらぐようなら、結果どちらを受けてもダメでしょう。その程度の気持ちでは、直前期になった時の焦りや高倍率の恐怖は乗り越えられないからです。
また、公立中高一貫校の場合は学校によって特色が違いすぎるので、途中での志望変更はかなりのハンデを負うことになります。よほどのことが無い限り、得策とは言えません。
つまり、改革後、他校からの志望者がスライドで流れてきたとしても、敵ではないということです。(かつての「チャレンジ層」と同じですね。お子さんが負ける相手ではありません)
しかし、一つ注意点があります。
「受かりやすくなりますよ!」各塾の囲い込みが始まる
今回の募集枠拡大を受け、塾業界は新学期前の集客がますます加熱していきます。
特に今年は、都立中に強い最大手某塾人気に暗雲が立ち込めている状態なので、二番手・三番手の塾は特に強気で集客にかかるでしょう。
このあたりの事情は、おおっぴらに書くと叱られるので、LINE@でお伝えします。
「すでに塾に通っているご家庭」「これから検討中のご家庭」ごとに、注意点をお伝えします。
クラスの雰囲気やレベル感の変化に注意(塾に通っているご家庭)
新六年生に上がるタイミングでよく起こることではあるのですが、
強引な集客により急にクラスの人数が増えた時、確実にクラスのレベル感は(一時的にですが)下がります。
これが、各学年で起こりうると考えられます。
入塾直後は講師のリソース(時間や熱意)は主に新入塾生に割かれる上に、基礎がまだ仕上がっていない生徒のレベルにどうしても授業を合わせないといけないため、
それまではいい調子で学習を進めていた子(優秀な子)こそ、この無駄な足止めをされてしまうのは非常にもったいないことです。
私立受験の場合は、志望校や偏差値によって、また、入塾時のテストによってある程度はレベル差のないようなクラス体制ができるのですが、
公立中高一貫校の場合はクラス内のレベル差が二極化しやすいため、特に注意が必要です。
戦略のない「受かりやすくなってますよ」に注意(これから塾を探すご家庭)
都立高改革による都立中高一貫校募集枠拡大のニュースは、塾としては非常に集客しやすい、強烈なネタです。
おそらく、どこの塾を見学しても「チャンスですよ〜!絶対いまから始めた方がいいですよ!」というセリフを言われることかと思います。
けれども、募集枠拡大はそんな単純な話ではありません。
枠が増えたから、合格しやすいかと言ったらそうではないですよね(冒頭でお伝えした通りです)
受検者数の増加、そして受検者層の変化を見越して、じゃあこの塾はどう改革していくのか。増加枠を掴み取るために何をしていくのか。
そういったビジョンのある塾かどうか、よくよく確認してみてくださいね。
都立高改革による変化に対応するために
今回、募集枠拡大の影響により、「それなら検討してみようかな?」と背中を押されるご家庭も確かに増えることかと思います。
しかし、結局受かる子は、いつも「決まった層」です。
「決まった層」というのは、「合格する子に共通する5つの能力」で紹介したセンスがあり、かつ、誰よりも銀本(全国の過去問題集)の数をこなす努力をした子です。
そういう子は本番前からすでに「合格ライン」に立っています。
そして、あとは当日の時間配分やメンタル面、体調面などでよほどのトラブルがなければ、大丈夫です。
公立中高一貫校はどうしても倍率に目がいきがちですが、「見た目の倍率」が上がろうが下がろうが、受かる子のレベルは毎年変わらないんだ、という視点を忘れないでください。
やるべきことは、その層に食い込むことだけです。
枠が広がった、ライバルが増えるかも…と焦るのではなく、勝機ととらえ、「枠が広がった!じゃあその枠に何が何でも入ってやる!」と学習ペースを上げるくらいの気合いを持ちましょう。
拡大のニュースを受けるよりも前から、一生懸命頑張っているんです。大丈夫ですよ!
【都立高改革にまつわる都立中高一貫校倍率の変化】まとめ
今回の、高校入試廃止という改革そのものは非常に良いことです。
現在は都立高校入試の倍率は1倍を切るような状況が続いていますから、
それだったら廃止にしてしまって、中学・高校と一貫した教育の中で理想のカリキュラムを組む方が確かに効率がいいですよね。
また、在校生いわく、中学入学組と高校入学組の差(良い意味でも悪い意味でも)が、学内の雰囲気をいびつにしているという話も聞いています。
中等型化によるメリットデメリットについては、現在、さらに詳しく分析中です。
また改めて、記事にしますね♪
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