一言で倍率と言っても、細かいところまで理解するのは少し難しいですよね。この記事では、「公立中高一貫校を受けるなら、覚えておきたいポイント」だけに絞って説明します。
今回は、東京の小石川中等教育学校の受検生を例に見ていきましょう。
公立中高一貫校における倍率とは
塾の説明会などで、「○○校は倍率4倍、□□校は6倍…」という風に、倍率という単語はしょっちゅう出てきますよね。
都立中高一貫校では8倍、なんと9倍近くある学校までありますよね。見慣れてくると4倍5倍くらいなら低く感じてきてしまうのですが…。実は、公立中高一貫校の倍率は異常に高い、と聞いたことありませんか?
倍率は、すごく簡単に説明すると、「何人に一人受かるか」という計算を表しています。
倍率3倍=「3人に1人が受かる」ということ!
そう考えると、やはり8倍9倍…というのは恐ろしく高い倍率ですよね。
学校の1クラス全員が受けたとしても、2人~3人しか受からないということです。
直前期になると特に、この高い倍率は恐怖となっておそいかかってきますよね…。私も、講師1年目の時は12月・1月は眠れないほど追い詰められた思い出があります。
でも、どんなに倍率が高くても、不安にならないでほしいのです。倍率にもいろいろあって、「見た目の倍率」と「ホントの倍率」は全然違うからです。
【公立中高一貫校】知っておきたい倍率の種類とは
1.応募倍率
応募倍率は、出願が締め切られた時点で決まります。たとえば小石川中等教育学校(平成30年度)なら…
募集人数 | 応募人数 |
159 | 1,039 |
(東京都教育委員会のHP「都立中高一貫校前年度情報」より引用)
1,039÷159=約6.53倍ですね。これが、「応募倍率」です。
ただ、何かしらの事情があったりして、実際に受ける子はもう少し少なくなります。
2.受検倍率
受検日当日、実際に受けた子が確定した時点で決まるのが、「受検倍率」です。
さきほど例に出した小石川中等教育学校をもう一度例に出してみてみましょう。
募集人数 | 受検人数 |
159 | 946 |
さきほどは1,000人を超えていましたが、946人まで減りましたね。
946÷159=約5.95倍。これが「受検倍率」です。
6.53倍の応募倍率よりも、少しだけ低くなりました。
3.実質倍率
実質倍率は、受検人数÷合格者数です。
公立中高一貫校は、受検倍率=実質倍率と考えて大丈夫なので、押さえておきたいのは「応募倍率」と「受検倍率」の2つだけですね!
※もちろん、正確には「補欠合格者」も存在しますが、倍率の計算が大幅に変わるほどの繰上げ合格者数は出た例がありません※
ホントの倍率とは…
一番重要なのは、実際に受検した子たちで計算する「受検倍率」ですが、ホントの倍率はもう少し低いと考えられます。
なぜなら、受検者の中には、「併願受検者」と「チャレンジ受検者」がいるからです。
- 併願受検者…別の日に受けた私立が第一志望
- チャレンジ受検者…本格的に適性検査の対策をあまりしていないが、「受かったらラッキー♪」という考え
併願受検者
私立の選択肢が多い首都圏では多いのが、併願受検者です。特に偏差値60以上の公立中高一貫校(いわゆる難関校)に多く見られます。
あくまでも第一志望は別の私立なので、受かっても高い確率で辞退する候補者のことです。
チャレンジ受検者
逆にチャレンジ受検者は、中堅校の中高一貫に多く見られます。本格的な受検対策をしていないけれど、「受けるだけ受けてみよう!」とチャレンジする受検者です。
中高一貫校が続々と開設された約10年前から比べると、チャレンジ層は減ってきたと言われています。
私が中高一貫校専任の塾講師になった頃は、「普通の学力の子でも受かる」という説が流れていました。でも、実際はかなりの訓練を積んで適性検査に慣れないと、合格は難しいですよね…。
まれに合格する子もいますが、かなりレアケースです。
このチャレンジ層は減っては来ているものの、中堅校であれば2割前後いるのではないかと私は見ています。(※逆に、偏差値65以上のハイレベル校にはまず存在しません)
公立中高一貫校の倍率まとめ
公立中高一貫校を受ける上で、覚えておきたいキーワードは「応募倍率」と「受検倍率」のみでOKです。
ただし、ハイレベル校にも中堅校にも、一定数の「併願者数」と「チャレンジ受検者数」が存在しています。
そういった層を除くと、ホントの倍率は「受検倍率の半分くらい」を意識して良いと考えています。
倍率について考えるとどうしても心が折れそうになりますが、それはどの家庭でも同じです。大丈夫ですよ!